香港

 


コーディネーターの林(りん)さんは
とてもファンキーな人だった。

香港人独特のパワー感が、たまらない。

ベンツのリムジンで出迎えてくれたのだが
なんだか怪しい車に見えないこともない・・・・。

普通、リムジンなんていうと
すごく高級なイメージなんだけど
その車は まるで2台の普通自動車をむりやりくっつけて
ベンツの顔をむりやり張り付けたような・・・・
あんまりかなぁ。(笑)

でもそれぐらい
「アヤシイ」雰囲気を醸し出していたんだ。

 

それでもボクたちは
乗り慣れない「ベンツのリムジン」などというものに乗せてもらい
大富豪よろしく(?)香港の街をさっそうと走り抜けたのだった。
Ha-ha-ha・・・・

 

 

1997年1月末・・・・・。


「YAH! YAH! YAH!」のPV撮影の為
香港の啓徳空港に降り立ったのは
まだ香港が「中国」になるほんの少し前だった。


当時はしっかり“一つの独立国”っていうイメージだったなぁ。

 

とにかく街中はエネルギッシュで
絶えず熱を帯びた臭いを感じた。

なにかアヤシイ感じのするショップもあちこちにあって
本物そっくりの偽物も、これでもかといわんばかりに並べられている。
中には本物もあるかもしれないけどね。(笑)

 

  

 

香港は中国大陸に続く九龍、新界の半島部と
香港島や他の島々から成っている。
一般的には、政治経済の重要な機能は、香港島に集中していて
これに九龍地区を加えた一帯が
香港の中心部だという認識があるようだ。

 

 

ボクたちが滞在していたのは
湾を挟んで対岸に香港島のビル群が立ち並び
これが“正しい”香港だとでもいわんばかりの景観が目の前に広がる
すばらしいシチュエーションのホテルだった。

・・・・・・・・でも
名前は忘れた・・・・・・・・。(爆)
場所はしっかり覚えているのにぃ~・・・・・
まっいいか!

 

空き時間を利用して、ちょこっとだけ街を歩いてみた。

市場のような、店がひしめき合っている路地を歩きながら
「きっと戦後の日本も、こういうパワーがあったんだろうな~」
なんて考えていた。

それにしても、行き交う人や店の人たちの目が
鋭い!熱い!・・・コワイ!(笑)
きっとみんな「いい人」なんだろうけどね・・・・。

 

  

 

香港島との行き来に欠かせないのが
スターライトフェリーだ。
7~8分で向こう岸に着くらしい。

ボクは、そのフェリー発着所の前に出ていた露店で
貝のようなもの(?)の串焼きとビールを買って
埠頭のベンチに座って
のんびりと香港が夕暮れ色に染まっていくのを眺めていた。

フェリーはまるで山手線のように、短時間で発着していて
着くたびに、足の早い人々が吐き出され
そして吸い込まれていくのが面白かった。

「あ~~そうだよなぁ。みんな生活してるんだよなぁ~」
なぁんてしみじみと思ったりもして・・・。

 

  

 

PV撮影後に林さんが連れていってくれた店は
味も最高だけどシステムがまた面 白い。
まさに海鮮市場の中を練り歩きながら
「この大きなエビ!・・大きい方ね!
それからこっちのシャコ!!大きいやつね!!!
あと、アワビも!!」


あっちこっちで声を掛け合ってから
市場の奥のほうにある“食堂”に入っていく。

中はまさしく大衆食堂さながらの体で
多くのジモティー(地元の人)がわっしょいわっしょいと
メシを食っていた!

とにかくウマイ!!!!!!!!!!!!!!!

なんだかわかんないんだけどウマイのだ!!

コリコリシコシコとした身・・・・・・。
思い出すとよだれが・・・・・・
ズルッ。(笑)

 

 

あまり自由時間がなかったので
探索に行くチャンスはほとんどなかった。

それでも、メンバー全員で夜の繁華街に繰り出して
「アヤシイ」ものを物色。(笑)

一番たまげたのが
リンドバーグの海賊版CDを売っている店を見つけたとき。

こっちでいうベスト盤みたいにして
ジャケットもしっかり作ってあったし
メンバーの紹介もしっかり中国語で書かれていた。

ボクはとっても嬉しくなり、そのCDを買った。(笑)
違法なんだからホントは怒らなくちゃダメだよねぇ・・・


ついでにボクたちがその本人だと告げると
店の若者達は盛り上がって
サインだの写 真だのといった
ちょっとしたファンクラブの集いみたいになった。
よく考えたら、何やってんだか・・・(笑

 

 

後年、沢木耕太郎氏の「深夜特急」を知り
本を読むうちに
香港にはまっていく情景が、とても人ごととは思えない感じで
またあの路地を歩きたい、もっと裏まで入ってみたい
香港の人たちのことを、もっと知りたいと思うようになった。

 

今は中国の香港になっている。
はたして、以前の香港のままなのか・・・・・・。
次のチャンスを期待しながら・・・・・。