岩手 大沢温泉

 

雪の積もった温泉にいきたい!と思って電車に飛び乗った・・・・・

 

なぁんていうとカッコイイんだけど
新幹線のチケットを取って
「新花巻」に向かった。 (笑)

 

温泉特集の雑誌を見た瞬間

「これだ!ここに行く!!」

と鼻息も荒く
まだ見ぬ露天風呂に思いを馳せて
スケジュール帳を開く指も震わせながら
『OFF』と書かれているところをしっかりと確認した。

そして、すかさず旅館に電話をし、宿泊の予約を取った。

 

 

大沢温泉は
新花巻駅からバスでおよそ30分くらい走ったところにあった。
バスを降りて、積もった雪に気を配りながら道を横切り
渋い看板の横を通って
玄関にたどり着いた。

さすがに周りはほとんどが雪景色。
旅館の裏側には、川が流れており
心地よいせせらぎの音が聞こえてくる。

大沢温泉は、もともと湯治場として人気があるという事で
長期滞在のおじちゃん、おばちゃん達がゆったりと湯につかっていた。

露天風呂に行く細い廊下の途中には
米や缶詰、 インスタント食品等を売っている売店があって驚いた。
改めて、湯治場ということを認識した。

 

 

露天風呂は川に面しており
水の流れをゆっくりと眺めながら湯につかっていられるから
それはそれは気持ちがいい。

まわりには雪が積もっていて
立ちこめる湯気とのバランスが何とも言えない。
「いつもご苦労さん・・・・」
と、自分の身体にひとことお礼を言ってみる。


ここなら、長期滞在してもいいなぁ・・・・
なんて思ったりして。

 

 

花巻には
宮沢賢治記念館や彼の育った生家がある。

そんなに多くの著作を読んだ訳ではないが
彼の生き様や思想、宇宙観などからとても“愛”を感じるんだ。

 

 

記念館はよく整理されていて、きれいだった。
彼が使っていた古いオルガンやチェロなどもあって
見ていて飽きることがない。

特にボクが興味を示したのが
当時の新聞の記事を拡大コピーして
壁に貼ってあるところで

なんと!
『チャールズリンドバーグが大西洋無着陸飛行に成功』
というのを見つけて
思わず「オオッ」っと唸ってしまったのだ。(笑)

 

そうか、2人は同じ時代に生きていたんだなぁ・・・・・
などとつぶやきながら。
なんだかとても嬉しかった。

 

  

 

北上川に寄ってみた。
『イギリス海岸』を見てみたくて。

夏になると姿を現す白亜の岩肌が
イギリスのドーバー海峡を思わせることから
彼が名付けたのだ。

まだ冬だったので、残念ながらボクは見ることはできなかったが・・・・。
そこでも彼の感性に惚れ直した。

 

 

宮沢賢治といえば
「銀河鉄道の夜」や「雨ニモマケズ」「セロ弾きのゴーシュ」などが有名で
やはりそれらは、すばらしい本だし詩だと思う。

でもボクの一番好きなのは『告別』という詩なんだ。

 


春になったら離ればなれになる
彼の音楽の教え子に対する思いを書いているのだが
これがまた感動的で、ついつい目頭が熱くなる・・・・・。

これは是非読んでみてほしいなぁと思う。
後半の部分を抜粋してみるね。

 

 

ひとりのやさしい娘をおもふやうになるそのとき
おまへに無数の影と光の像があらはれる
おまへはそれを音にするのだ
みんなが町で暮したり
一日あそんでいるときに
おまへはひとりであの石原の草を刈る
そのさびしさでおまへは音をつくるのだ
多くの侮辱や窮乏の
それらを噛んで歌ふのだ
もしも楽器がなかったら
いいかおまへはおれの弟子なのだ
ちからのかぎり
そらいっぱいの
光でできたパイプオルガンを弾くがいい

 

 

雲の間から光が差し込んでいるのを見ると
「本当に『パイプオルガン』みたいだなぁ・・・」と思う。

そしてその時必ず、この詩を思い浮かべるんだ。

 

 

花巻への旅も、心洗われるものに出会えて
とてもいい想い出となった。

寒いところが暖かい・・・・・
日本も捨てたもんじゃない!

 

 

みちのく岩手 花巻 大沢温泉オフィシャルサイト